2021.05.07 06:42a wish 後編 (文例えば時計を巻き戻して、こんな目に遭わぬようにと腕の中に閉じ込めていても廻る時間の中ではいつかはきっと変わらぬような出来事は起こるのかもしれない背中合わせで落とし穴が潜む世界から、遠ざけたいと頭の中の冷静な部分はいつでも答えを突き付けているのに,この手の指先がいつも躊躇う触れる事さえ躊躇われるのにその名を幸せというならば俺はきっともう手離せない扉を開けて飛び込んできた光景に、全身に冷えたモノが駆け...
2021.05.01 15:03a wish 中編 (文嫌な予感がした。俗に言う第六感というモノで、外れる事など記憶にある限り無くて。ソレがやけに胸の中で蠢いていた。「獠! 大変よ! 香さんが!」滅多に動揺を見せない冴子が尖った声で叫ぶ。冴子からの仕事をこなすために、数日前から人里離れた山奥で缶詰状態の日々を過ごし、ターゲットの動きがやっと、との所で、帰る算段が付いたと内心安堵していたはずなのに。 「香? 何があった?」心臓が煩く騒ぎだす。それを...